『くろボーン!』
『うるせぇ!でかい声だすな!』
「別にいいじゃないか!」
「よかねぇ!」
これが彼らの日常。いつまでも、楽しく親友と暮らし、いつまでも、世界の平和をまもるために戦い続ける。
それが、しろボンとくろボンの役目。任務みたいなものである。
けれど、それを拒まず、自ら進んで引き受けている。
だから彼らは、強く、たくましく成長し、正義のヒーローと有り続けているのだ。
一般とは比較的に純粋で、お人好しな、単純だけど、人一倍正義感のある15歳の少年・しろボン。
それに対して、外見クールビューティな、苦労人だけど、しろボンの相棒兼親友として努力する同じく15歳の少年・くろボン。
性格には相違点が多いが、それでも意気投合し、このほぼ曲がった世の中を救おうと日夜動いている。
『おはよう!黒ボン!』
元気よく挨拶したのは、どこかしろボンと似たような子。
だけど、どこが違う。
「よう、白ボン」
元気な挨拶とは裏腹に静かに返事をしたのは、同じく、どこかくろボンと似たような子。
「今日はブルーハワイがいいナ」
「僕はイチゴミルクのかきごおり!」
「太るぞ」
「・・・・・・そういう黒ボンだって食べるんじゃないか」
「ま、確かに」
黒ボンはそう言うと、待ち合わせ場所の公園から、白ボンの家へと向かう。
「なあ、最近すごく平和だとおもわないか」
「平和の方がいいと思うよ」
「まぁそれもそうなんだが。なんだかこれから大変なことが起こりそうなくらいに胸騒ぎがして」
「だったら、僕の家でかきごおりたべてる場合じゃないよね」
はぁ、と黒ボンは大きな溜息を吐き、そのまま黙々と歩いていた。
20分ほどで白ボンの家に到着した。
中に入ってすぐに黒ボンは、リビングのソファーに座る。
一方白ボンは、かきごおり器を台所の棚から出している。
「にしても今日は秋なのに暑いな」
「秋晴れってやつでしょ」
「秋晴れか…何日も続くのは勘弁してほしいケドナ」
会話が終わると、白ボンがかきごおり器をキッチンのカウンターに置いて、冷凍庫から氷と、冷蔵庫の方からシロップなどを取り出し始めた。
そのとき、ちょうど黒ボンは、窓の外をボーっと眺めていて……
そして異様なボンバーマンを発見した。
「え・・・?」
太陽の光でちらちらとしか見えないが、明らかに自分と白ボンに似たボンバーマンがそわそわとしていたのだ。
「どこだここはー!!!」
叫ぶくろボン。もはや正気ではない。
「落ち着けよくろボン。まずはこの機械を・・」
「お前が勝手にいじくったからこんなことになったんだろ!!よくもぬけぬけと落ち着いてられるな!」
えーだってー、とわざといじけるしろボン。正に子供である。
しろボンが勝手にいじくったと、くろボンに言われている機械とは…。
“異世界トリップマシン”というDr.アインが開発した機械である。
まだ未完成であったため、どこにいくかなどの使命はできないうえに、すでに壊れぎみ。
「これからどうすりゃいいんだ!」
「そ、そんな僕に言われても」
くろボンに責められ、困惑するしろボンであった。
「なあ、白ボン」
「何?」
「さっき、オレ達に似た人を見たんだが、気になるんダ。行ってみないか?」
・・・。白ボンはしばらく黙り込む。そしてようやく口をひらいたが、その言動は酷く辛口なものだった。
「行ってどうするの?見物にでもするつもり?」
「いや、そうじゃなくて…」
黒ボンは慌ててしまう。
「・・・なんか、さ、気にならない?」
「…別に」
ああ、今思い出した。そういえば白ボンは、何事にも無関心なのだ。
常に飄々としており、何を考えているのだかさっぱりだが、あまりこういうことに関して心を動かさない。
「じゃあいいよ。オレひとりでいってくるから」
「・・・・・・」
白ボンは黙々とかきごおりの製作をつづけ、家から出ていく黒ボンを見送りもしなかった。
ーーだが、彼が出て行った直後、こんなことをつぶやく。
「……僕もみたんだけどね」
「で、どうするんだ?」
さっきと変わらずに、くろボンはイライラしている。
「だから、僕に言われても困るって」
「だーかーら、どうするんだ?」
だんだんくろボンの周囲に、黒い邪気というかオーラというか、ともかく物騒なものがただよっている。
「おちつけよ、何とかするから」
「なんとかってどうすんだよ!!」
無責任なしろボンに腹を立てるくろボン。
いつも許しているが、今回ばかりは、と激怒している。
『あの…』
「?」
もめあっている2人の目の前に現れたのは、くろボンと似たような色をしたボンバーマンの少年だった。
「なるほど、それでしろボンさんたちはここに」
「ああ、そうなんだ。だけど、帰る方法が見つからなくって……博士がいればなんとかなるんだろうけど」
「ケポ号もシャトルもねえしな」
先程、黒ボンに喧嘩を止めてもらい、白ボンの家に上がらせてもらうことになった。
彼は白ボンの家なのにも関わらず、断りもなく他人を上がらせてしまったが、特に嫌な顔もせずにただ今まで通り興味の無さそうな態度をしているだけだった。
「あいつ、いつもああなんだ。」
と、黒ボンがしゃべりだす。
「でもああ見えて良い奴だし、悪気は無いはずだから」
わかってる、と言うしろボン。双方同い年ではあるが、それだけに気を使う。相手が年上ならもっとだ。
しろボンとくろボンがきてから、白ボンはひとこともしゃべらなかった。が、ついに彼も、
「かきごおり、いる?」
と、ひとことだけど言った。
「うん」
にっこりと笑って、言葉を返すしろボン。
一方くろボンは、ぶっきらぼうに「ああ」、と言うだけだった。
どうしてこんな無愛想な奴に、あんなにこやかスマイルを返す必要があるのだろう、としろボンの行動に疑問を抱いたが、あえて言わないことにしておいた。
「ねえ、くろボン」
「何だ」
「僕達、ずっとここにいることになるのかなぁ」
「さあ。なるようにしかならねえんだ。時に任せようぜ。」
こういうところでは、無駄に理論的というか、とにかく現実主義者的なくろボン。
だが言っていることは間違いではない。
「家はどうするんダ?」
と、これは黒ボン。
「適当に宿でも借りるよ。そのうち帰れるようになるまでな」
「随分と暢気だね」
くろボンの後に発言した、白ボン。皮肉発言だろうか…?
「どういう意味だ」
「だって君達の話からすると、“凶悪ボンバー五人衆”っていうボンバーマンを倒さなくちゃいけないんでしょ?だったら早めに帰った方がいいと思うよ」
「つまり、俺達を追い払いたいってことか」
「それは違うよ。まず君達以外にヒーローがいなかったら、それこそ敵の好き勝手に暴れられて、平和なんてもちろんたもてないし、死者だって続出しかねない」
確かに、と頷くしろボンと黒ボン。
だが、白ボン同様に現実主義者であり理論的なくろボンにとっては、納得しがたいことである。
「そんなことわかってる。でも帰る方法が見つからないんだ」
「自分で探せばいいじゃないか」
「俺達はここの地域のことをまったく知らない」
「なら付近の人に聞けばいい」
天才・秀才チームに、なかなか思考が追いつかないしろボンと黒ボン。
「へえ、じゃあお前が教えてくれよ。この近くに、れっきとした研究者のいる研究所はねえのか?」
かきごおりを盛っている手を一時的に止め、白ボンはこう言った。
「あるよ。ーーアイン博士の所」
その言葉に、2人が硬直した。
…アイン?……Dr.アインのことか?
困惑して、目を合わせるしろボンとくろボン。
その後、白ボンと黒ボンに頼み、アイン博士とあった。
外見は似ているが、どうやら別人らしい。
すぐに機械を修理してもらい、帰れることになった。
「じゃあナ!」
「…元気でね」
最初のときとは打って変わって、今度は黒ボンが元気良く挨拶をする。
だが今まで素っ気なかった白ボンも、今では情が沸いてきたのか、愛想よく挨拶をした。
「ああ!」
「ばいばい、今までありがとなー!」
しろボンとくろボンも、彼らに負けないくらいに、元気良く別れの挨拶をしたーー。
また、来れるよね…?
それは、双方が思った自らの本心。